1.ひとくちにうつ病と言うけれど | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

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医療トピックス

1.ひとくちにうつ病と言うけれど

わが国の年間自殺者数は平成10年以来、14年連続で3万人を超えています。自殺はさまざまな要因が重なって起きるものですが、中でもうつ病にかかっていた人が多かったことから、うつ病がクローズアップされるようになりました。

昭和38年に当時の厚生省が行った精神障害者全国実態調査によると、うつ病は5,000人に1人しかいませんでした。当時はまだ日本の総人口が1億人に足りない時代でしたから、全国でうつ病は2万人弱しかいなかった計算になります。それが50年ほどで急激に増えたのは、アメリカから新しい診断基準が入って来たからです。

これは「ほとんど1日中、ほとんど毎日気分が落ち込んでいる」とか、「ほとんど1日中、ほとんど毎日興味や関心がなくなる」など、全部で9つの症状のうち5つ以上の症状が「2週間」続いたらうつ病と診断するというものです。

5つ以上の症状が「ほとんど1日中、ほとんど毎日」しかも「2週間」続くというのは、相当厳しい診断基準なのですが、それがきちんと適用されていないために、うつ病が増えた可能性が高いのです。

もともとうつ病は躁うつ病の1種でした。躁うつ病には躁病とうつ病と躁うつ病の3つがあったわけです。昔から日本人にはうつ病が多く、躁病と躁うつ病は少ないと言われていました。しかし最近は、以前ならうつ病と診断された人が、実は躁うつ病だったというケースが増えています。

躁うつ病には2つのタイプがあって、昔ながらの躁うつ病は躁状態とうつ状態が交互にやって来ます。最近注目されている躁うつ病は、ふだんはずっとうつ状態が続いていて、たまに軽い躁状態になるというものです。

ところで軽い躁状態というのは、ふだんからうつ状態にある本人にとってはむしろ調子良く感じられるので、躁状態という自覚がありません。いきおいうつ状態だけの訴えに終始するので、本当は躁うつ病なのに、うつ病に見えてしまうのです。

ひとくちにうつ病と言っても、昔ながらのうつ病と、アメリカから来た診断基準によって増えたうつ病と、一見うつ病に見えて実は躁うつ病という、複雑な状況にあるのです。

うつ病が疑われるときは、安易に自己診断をしないで、専門家に相談することをお勧めします。

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