麻雀人類学  2.そこまでやるか? | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

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院長のひとりごと

麻雀人類学  2.そこまでやるか?

エジソンはえらい。なんたって電灯を発明したのだから。

何を今さら、と笑われるかもしれないが、一度、電灯のありがたさを思い知らされたことがあったのである。

テツマンという言葉からもわかるように、麻雀は夜を徹して打つものである(別に夕方でやめてもいいのだけど)。ところがある日、K電力から私たちに一枚の挑戦状が叩きつけられた。〇月×日午後10時より翌日午前4時まで、電気工事のため停電とする……というお達しである。

夜は麻雀を打つためにあるものと信じていた私たちは、たちまちパニックに陥った。

停電となれば、黙って布団をかぶって寝るしかない。しかし、すでに夜行動物と化していた私たちに夜間おとなしく寝ていろと言うのは、フクロウに睡眠薬をのませるがごとき暴挙である。

私たちは早速対策会議を開き、次のような決議を採択した。すなわち、当夜は全員安眠できるように、前夜のテツマンから停電直前まで休憩なしの24時間麻雀を打つことになったのである。

私たちは生あくびを噛み殺し、眠い目をこすりながら静かに停電の訪れを待っていた。

ところが……である。誰となしに(たぶん負けが込んでたヤツだと思うが)「停電くらいでテツマンを放棄してよいのか」という怒りの声が挙がった。男がすたる、というのである。なるほど停電ごときで麻雀をやめたとあっては、男のコケンにかかわるだろう。

それからの私たちの行動は早かった。手分けしてロウソクを買いに走る一方、コーヒー皿とか紅茶の缶のフタとか、およそ燃える気づかいのない道具をかき集めて、雀卓の周囲に並べ立てたのである。

停電と同時に、私たちは厳かにロウソクに火を点した。ゆらめく炎の中に雀鬼と化したみんなの凄惨な顔が浮かび上がった。

K電力の横暴に屈してなるものかと、私たちは目を血走らせたまま、明け方まで黙々と麻雀を打ち続けたのだった。

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