麻雀人類学  6.キツネとタヌキ | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

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院長のひとりごと

麻雀人類学  6.キツネとタヌキ

ある程度麻雀が打てるようになると、麻雀の技術そのものではさほど差がつかなくなる。ドングリのせいくらべである。ここから先は心理作戦の巧拙が勝負を分ける鍵となる。

まず最初に修得しなければならないのは、相手がテンパっているかどうかを見極める技術である。

初心者は自分の牌に夢中になっているから、目の動きを見ているだけで、牌の流れが手に取るようにわかってしまう。それまで自分の牌しか見ていなかったやつが、突然、場の捨て牌に目を配るようになったら、まずテンパイしたか、少なくともイーシャンテンにはなっていると思って差し支えない。

思い出したようにタバコを喫いはじめるやつもいる。とくに、それまでずっとくわえていただけのタバコに火をつけ、うまそうに煙を吐き出したりしたら、まずテンパったと見て間違いない。かと思えば、やにわに点棒を数えはじめたり、急に饒舌になったり、要するに初心者はテンパるか、テンパイが近くなると、それまでとは全然違う行動をとるようになるので、すぐにバレてしまうのである。

もう少し腕が上がると、テンパると同時に安全牌が出てくるようになる。手の中から突然「西」なんかが出てきたら、テンパった証拠である。

自分がテンパったことを悟られると警戒されるので、上級者は極力テンパイを隠そうとする。たとえば安全牌の「西」を切るにしても、手の中から出したことを悟られないために、ツモってきた牌と安全牌とを一瞬のうちにすり替えて、あたかもツモ切りであるかのようにして捨てるのである。このときは牌をさかさまにして捨てるのが望ましい。たいていの人は牌を並べるときにわざわざ上下を逆にしたりはしないから、手の中の牌をそのまま捨てると、牌がさかさまになることはない。したがって、捨て牌がさかさまになっていると、「ツモ切りではないか」と思わせる心理的効果が生じるのである。

こうした小技は数え上げると枚挙に暇がないが、上記のテンパイの徴候を逆手に取り、テンパってもいないのにテンパったふりをして相手を牽制するような場合も当然生じる。キツネとタヌキの化かし合いのようなものである。

ところで私は何事によらずスロースターターで、麻雀でも最初から勝ちに行くことは滅多にない。2位か3位あたりでじっと食らいついていて、終盤で一気に抜き去るタイプである。最後に一発かまして逃げるのが得意なわけで、その点私は自分のことをキツネでもタヌキでもなく、イタチではないかと思っている。

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