夢のような夢のはなし  4.記号と象徴 | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

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夢のような夢のはなし

夢のような夢のはなし  4.記号と象徴

前回「夜は無意識」「白は移行」「右と前方は意識」を表すなどと気軽に書いたが、夢に出て来る素材は何でも意味づけできるわけではない。もしAはBを意味し、CはDを意味する……などと置き換えることができたら、AとCは単なる記号になってしまう。夢は記号化することによって解釈できるほど単純なものではない。夢を解釈する鍵は象徴にある。

記号と象徴の違いはどこにあるか? あらためていくつか辞書を繙いてみたが、どれも帯に短し襷に長しでしっくり来ない。比較的わかりやすかったのが以下の定義である。

「広義には象徴と記号は同じ意味で使われることがある。狭義では信号、徴候などと同じ意味で使われる。一般的にいえば、記号という用語が使われるときは、能記(signifiant)と所記(signifié )とのつながりは恣意的であるが、象徴という用語では、能記と所記の間は恣意的なものでなく、特殊な関連、類似が認められ、根拠があるものとみなされる」(「誠信心理学辞典」より抜粋)

これでも一体何のことかよくわからない。能記と所記は言語学の用語で、能記は「意味するもの」、所記は「意味されるもの」を指す。

ここに1本の鉛筆があったとする。日本語では鉛筆、英語ではpencil、フランス語ではcrayonという。鉛筆という物体が所記(意味されるもの)であり、鉛筆、pencil、crayonが能記(意味するもの)である。所記に対して能記が複数存在するのは、両者のつながりが恣意的だからであり、鉛筆、pencil、crayonは記号ということになる。

これに対してあるものを表現する際、それ以外のいかなる方法を以てしても、そのものを正しく表現できないような場合を「象徴」と呼ぶ。キリスト教における十字架はその典型的な例であり、徳川幕府の「葵の御紋」や皇室の「菊の紋章」などもこれに当たる。国家の象徴は国旗であり、おおむねその建国の理念がイメージ化されている。

象徴解釈とは象徴を言語化しようとする試みであるが、言語が一種の記号にほかならない以上、象徴は常に解釈されたもの以上の何かであることを銘記しておく必要がある。

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