夢のような夢のはなし  7.元型について | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

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夢のような夢のはなし

夢のような夢のはなし  7.元型について

前回取り上げた個人的無意識と集合的無意識の続きである。個人的無意識とはその人が体験していながら無意識のかなたへ忘却された内容を指し、無意識の中でも浅い層に属する。一方、集合的無意識は人類に共通してみられるばかりでなく、極論すれば動物にすら認められるような内容まで含んだ概念であり、心の最も深い層を支えている。

集合的無意識の内容は元型(archetype)と呼ばれる。元型はそれ自身として認識されることはなく、常にイメージとして意識の中に現れる。主な元型としては①ペルソナ(persona)、②影(shadow)、③アニマ(anima)、④アニムス(animus)、⑤自己(self)、⑥太母(great  mother)、⑦老賢者(old wise man)などが挙げられる。

これらの主要な元型についてはおいおい解説するとして、今回は数を取り上げてみたい。数もまた元型のひとつである。

夢分析においては、数は2から始まる。1は数に含めない。なぜなら、世界に存在する物がすべてひとつしかないとしたら、そもそも数える必要がないからである。同じ物がふたつ以上あって、はじめて数えるという行為が生じる。数は2から始まるのである。

夢分析における2の意味は「対立、葛藤、逡巡」である。夢の中で分かれ道に行き当たるとか、川を渡る際に橋がふたつあるような場合である。自転車やバイクという二輪車で2のテーマが現れることもある。こういう夢を見るのは、その人の心の中で何か葛藤が生じているか、あるいは対立している価値観のうちどちらを選ぶか逡巡しているような場合である。

その対立や葛藤を乗り越えようとする時に3のテーマが出現する。建物の中に3つの部屋があったり、夢の登場人物が3人だったり、夢の舞台が建物の3階だったりする。3は一般に「対立物の統合」を意味する。

心の中にAとBという対立するものがあったとして、それを乗り越えるためにAもしくはBの一方を選んだところで解決にはならない。AとBという矛盾物を抱えたまま、Cという新しい境地に達することが、対立・葛藤を乗り越える正しい道である。弁証法的に言うなら、対立物を止揚(アウフヘーベン)することが求められるわけである。

3はまた「完全数」でもある。3という数には、なぜか人を納得させる力がある。キリスト教における「父と子と聖霊」の三位一体説は、その最たるものであろう。リンカーンの「人民の、人民による、人民のための政治」という演説も、3つの分節から成り立っているせいでいかにももっともらしく聞こえるし、「非核三原則」などと言われると、何となくその通りだと賛成したくなってしまう。

2と3が出たところで、偶数と奇数の意味について触れておきたい。一般に偶数は女性を表し、奇数は男性を表す。偶数は2で割れるので安定感があるが、奇数を二つに割ると大小が生じ、不安定になる。不安定ということは、そこに動きが生じるということである。

男と女がある場所に閉じ込められた場合、女はじたばたせずに助けが来るのを待つが、男はどこかに出口はないかと動き回ると言われる。あるいは世の中に女しかいなかったら、人類は今も原始時代のままであるが、男がいたから発展したなどという暴論もある。

これ以上書くと連載を止められそうなので、今回はこのへんにして、次回は4以降の数について解説する。

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