夢のような夢のはなし  8.数の象徴(4について) | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

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夢のような夢のはなし

夢のような夢のはなし  8.数の象徴(4について)

前回2という数は「対立、葛藤、逡巡」を表し、3は「対立物の統合」もしくは「完全」を表すと書いた。これに対して4は「全体性」を表す。

完全という概念は意識の産物である。一方、世の中には意識では捉え切れない不完全なものがたくさんある。無意識の世界に属する事象がそれである。3が表す「完全」に4番目の「不完全」を加えて、つまり意識の世界に無意識の世界を加えることで「全体」に至るわけである。

たとえば四つ葉のクローバーは今では幸福の象徴になっているが、本来の意味はそうではない。グリム童話によると、子供たちが魔法使いに騙されている中で、四つ葉のクローバーを持っていた女の子だけが魔法使いの魔法を見破るという話がある。これは四枚目の葉、つまり無意識の力を手に入れた者は、邪悪なものに騙されないという意味である。四つ葉のクローバーは本来邪気を祓うものであったが、それがいつのまにか幸福を意味するようになった。

4という数は、夢の中では同じ物が4つあるとか、登場人物が4人いるとか、建物の4階にいるという形で表現されるほか、四角形という形で表されることもある。とりわけ正方形は全体性の象徴としてよく用いられる。間取りでいえば四畳半と八畳で、そういう部屋の中で夢が展開する場合は、全体性のテーマが絡んでいる可能性がある。

全体性と言われてもピンと来ないかもしれないが、心の葛藤(2のテーマ)を乗り越えて対立物の統合(3のテーマ)を成し遂げたクライアントが、それまで住んだこともない四畳半の部屋に引っ越したなどという夢を見た場合は、そのクライアントが過去を脱して「新しい境地」に至ったことを意味する。

もっともそこが最終点ではなく、そこからまた新しい葛藤が生じるわけで、新しい境地とは新しい出発点にほかならない。ようやく目的地にたどり着き、やれやれと思ったら、ぐるっと回ってもとの出発点に戻っていたわけで、人生とはこうした円運動の繰り返しから成り立っている。一見徒労のように見えるかもしれないが、出発点に戻って来るたびにその軌跡の半径はどんどん大きくなっており、それだけ人間性に幅が出て来ることになる。

先ほど「新しい境地」という言葉を使ったが、4はまた我々が生きている「世界」をも表す。時間的には春夏秋冬、空間的には東西南北というふうに、現実の時空間は4つの基本概念から成り立っている。さらにユングのタイプ論では人間の心理機能として思考、感情、感覚、直観の4つを想定しており、これが4のテーマとして夢に出て来ることもある。

四輪駆動の車を運転していて、左の後輪が突然動かなくなり、危うく事故を起こしそうになった夢を見た人がいた。四輪駆動車の車輪は4つの心理機能を象徴しており、左の後輪は左が無意識、後ろが無意識を象徴することから、その人の意識が抑圧している心理機能を表している。つまりこの人は、ふだん自分が抑圧している心理機能のせいで、現実生活に支障を来していたわけである。

逆に夢の登場人物が3人いて、みんなが窮地に陥っているときに、もう1人が加わることで難を避けることができたような場合は、この4人目の登場人物が分析のキーワードとなる。その人物が持っている特性を身につけることによって、今度は自分で窮地を乗り越えられるようになるからである。

なお、4は死につながるというので、わが国では不吉な数とされているが、これは「語呂合わせ」という意識の世界の話で、無意識の世界で4が忌み嫌われることはない。

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