夢のような夢のはなし  9.数の象徴(5と6について) | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

0353738700

image

夢のような夢のはなし

夢のような夢のはなし  9.数の象徴(5と6について)

4が全体性あるいは世界を表すのに対して、5はそれに1が加わったもの、いわば世界観を表す。3という完全数は意識の世界に属するが、それに4番目の無意識が加わって全体に至り、さらにそれらを統括するものとして5が登場する。

世界が「地水火風空」からできているという世界観は、五輪塔という、平安中期以降に見られる古い墓標に表現されている。下から順に方形、円形、三角形、半円形、宝珠形の石を積んで、串刺しにしたおでんのような墓石を読者もどこかで見た覚えがあるであろう。宮本武蔵の「五輪の書」も地の巻、水の巻、火の巻、風の巻、空の巻の5巻から成っている。

最も有名なのは陰陽五行説で、これは世界が「木火土金水」から成り立っており、それぞれに陽(兄)と陰(弟)があるとする。兄を「え」、弟を「と」といい、木から順にきのえ、きのと、ひのえ、ひのと、つちのえ、つちのと、かのえ、かのと、みずのえ、みずのとと呼ぶ。いわゆる十干で、漢字では「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」と表記する。

これに「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」の十二支を加えて干支(えと)といい、昔はこれで暦年を表した。天智天皇の長子・大友皇子(弘文天皇)に対して、天智天皇の弟・大海人皇子(のちの天武天皇)が反旗を翻した壬申の乱は「みずのえさる」の年に起こったもので、西暦では672年ということになる。甲子園球場は大正13年、甲子(きのえね)の年に竣工したことを記念して名づけられた。ちなみに壬辰(みずのえたつ)に生まれた筆者は4年前に還暦を迎えたから、今年は丙申(ひのえさる)ということになる。

閑話休題。

5という数は、筆者の経験では夢には滅多に出て来ない。建物では正五角形をしたペンタゴン(アメリカ国防総省)や函館の五稜郭が有名であるが、いかにも人為的で不自然な形状をしている。世界観も含めて、5という数は意識の関与が強いため、夢という無意識の世界には出て来にくい数なのかもしれない。

一方、6はダビデの星という六芒星に象徴される。上向きの三角形と下向きの三角形が合体した形で、対立物の統合という意味を持つ。

これは夢ではなく絵の話であるが、筆者が関わっていた保健所のデイケアで写生をした時、ある女性が石神井公園の池の向こう岸に6本の木を描いたことがあった。半年後に今度は新宿御苑で写生をした時、彼女は画面を横断する道の向こう側に、やはり6本の木を描いた。最初の絵は鉛筆で6本の木が細々と描かれているだけだったが、2枚目の絵はカラーで、どの木も幹が太く、枝葉もしっかりと描かれていた。彼女が半年の間に抑うつ状態から回復したことは推測できたが、6本の木が池あるいは道の向こう側にあるという配置は同じだった。

彼女が対立物の統合を目指していること、つまり心の葛藤を乗り越えようとしていることを筆者は絵の中から感じ取ったが、それは容易なことではないようだった。その後彼女はデイケアから作業所に移ったため、彼女が向こう側に行くことができたのかどうか、残念ながら筆者は確認していない。

ページトップへ戻る