夢のような夢のはなし  11.数の象徴(9について) | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

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夢のような夢のはなし

夢のような夢のはなし  11.数の象徴(9について)

9は最高数を表す。もちろん数としては9より大きい数はいくらでもあるが、心理学的には最も高い位を示す。4が世界を表し、5が世界観を表すのと同じように、8は4よりもさらに分化した世界を表すことから、9はその世界の頂点に立つ数とみなしてもよい。

天の最も高いところは「九天」と呼ばれる。狐も長生きして妖力が高まると「九尾の狐」になる。寺院の塔には三重、五重、七重などがあるが、建物の天辺にあるのが「九輪」である。これは九つの輪を持つ垂直の軸で、この部分が本来の塔である。塔の基部に舎利(お釈迦様の骨)が納められており、九輪の先端に水煙がついている。三重、五重などの建物はこの塔を置くための台座にすぎない。ちなみに塔はサンスクリット語でストゥーパといい、これが卒塔婆の語源である。

囲碁や将棋の世界では最高位が九段である。将棋でいうと、江戸時代は九段すなわち名人であった。八段が名人候補者を表し、これは大橋家、大橋分家、伊藤家の家元でなければ名乗れない段位であった。したがって在野の棋士はいくら実力があっても七段どまりで、幕末に棋聖と呼ばれ、実力十三段といわれた天野宗歩も表向きは七段であった。

話はそれるが、才気煥発でクイズ番組などによく登場した故芹沢博文九段は、友人たちが九段昇段のお祝いを企画したとき、自分にはとても九段の実力はないということで、会場を九段下にしたそうである。

そのほかオイチョカブでは9が最も強い数だし、ちょっと想像もつかないだろうが、易においても9は老陽(陽の満つるところ)を表し、最も位の高い数になっている。ちなみに8は少陰、7は少陽、6は老陰(陰の満つるところ)である。

なぜ易において6から9の数が出てくるかというと、筮竹(ぜいちく)を用いて神意を占う際に、本筮法という基本的な操作を行ったときに生じる数なのである。詳しくは岩波文庫「易経」上巻の解説を参照していただくとして、ここでは本筮法を簡単に説明する。

筮竹は全部で50本あるが、このうちの1本を抜いて、残り49本を二つに分ける。左手にある筮竹を天策、右手にある筮竹を地策と呼ぶ。地策を一旦机の上に置いて、そこから1本を取り、左手の小指と薬指の間に挟む。天策を4本ずつ数えて、余った数(1本~4本)を左手の薬指と中指の間に挟む。次に机の上に置いてあった地策を取り、同じように4本ずつ数えて余った数を中指と人差し指の間に挟む。すると、左手の指に挟まれた筮竹の数は必ず5本または9本になる。この5本または9本を49本から除いた残りの44本もしくは40本について、最初と同じように二つに分け、左手の天策、右手の地策について同じ操作を繰り返す。このとき左手には必ず4本または8本の筮竹が残る。これを40本もしくは44本から除いた残りについて、やはり二つに分け、同じ操作を繰り返すと、左手には再度4本もしくは8本の筮竹が残る。こうして3度の操作で左手に残ったすべての筮竹を最初の49本から除くと、余った筮竹は必ず24、28、32、36本になる。これを4で割った数が6から9になるわけである。

これだけの操作をして漸くひとつの陰陽が決まる。この操作を3回繰り返すと陰陽の組み合わせは2の3乗、つまり8通りとなる。これを八卦と呼ぶ。八卦とは「乾(けん)兌(だ)離(り)震(しん)巽(そん)坎(かん)艮(ごん)坤(こん)」を指し、これを自然界にあてはめると順に「天沢火雷風水山地」となる。この八卦を二つ組み合わせたもの、つまり本筮法における操作を6回繰り返したものを本卦(ほんか)と呼び、8✕8で64通りの組み合わせができる。この組み合わせの意味を解説したものが「易経」である。

筆者は御徒町にある高島歴の総本山を訪ねて筮竹と算木を求め、実際に本筮法を試してみたが、最初は本卦を得るまでに30分以上を要した。巷の易者はこんな悠長なことはしていられないので、(確かめたことはないが)略筮法を用いているのではないかと思う。

余談であるが、9から6に至る数は昔の時刻に残されている。真夜中もしくは真昼を九つと呼び、2時を八つ、4時を七つ、6時を六つと呼ぶ。九つ(老陽)は陽が満ちたときなので、あとは衰退して行くことになり、六つ(老陰)は陰が満ちたときなので、あとは隆盛に向かうことになるわけである。

このところ数の話ばかりで夢の話が出て来なかったので、次回はもう一度元型(集合的無意識の内容)に戻って、きちんと夢の話をしたいと思う。

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