木もれ日  13.飛車落ち奮戦記 (3)想定外 | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

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院長のひとりごと

木もれ日  13.飛車落ち奮戦記 (3)想定外

「お好み将棋道場」の持ち時間は上手が25分、下手が50分で、それを使い切ると一手30秒の秒読みになる。私は持久戦に持ち込んで上手が持ち時間を使い果たし、私だけ時間に余裕があるという展開にするつもりだった。指し手は定跡通りに進み、田丸九段と本田女流三段に特訓を受けた形になりそうだと思った瞬間、佐藤七段が突如定跡をはずして来た。第31手目のことである。

実は20数年前、小野修一九段と武市三郎六段に指導を受けていた頃に、これと同じ形になった覚えはあるのだが、その時どう指したかなんてとても思い出せるものではない。ここからは自分の力だけが頼りである。上手だけに時間を使わせるつもりが、私もどんどん時間を使わせられる羽目になってしまった。

定跡をはずされてから私は佐藤七段にひとつひとつ手を封じられ、だんだん身動きが取れなくなって行った。駒損はしていないので、冷静に見れば不利にはなっていないのだが、プロ棋士の強さを身にしみて知っている私は、このままでは真綿で首を絞められる結果になることが目に見えていた。そこで思い切って角を切る勝負手を放った。解説をしていた田丸九段と本田女流三段が思わず「おーっ」と声を挙げたところをみると、プロの盲点を衝く一手だったらしい。中村修九段の不思議流が乗り移ったのであろうか。

この手を境に棋勢は私に好転し、佐藤七段は持ち時間を使い切って秒読みとなったが、こうなってからプロは格段に強くなるのである(つまり私が生意気な手を指したので、佐藤七段が本気になったというわけである)。

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