6.高校生の発達課題 | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

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医療トピックス

6.高校生の発達課題

高校生といえば15歳から18歳。「論語」によると孔子が学問で身を立てようと決意したのが15歳で、時代は変わっても、この年ごろに自分の人生を自分で決めるという発達課題は変わりません。高校時代は自分の将来を選択し、それにふさわしい知識や技能を身につけていく時期といえるでしょう。

小学校時代は大人の言うことを素直に聞いていれば良い子でいられました。中学生になって自我がめばえてくると、それまで教えられてきたことに疑問を持ち、親や先生の言うことを素直に聞けなくなります。一旦身につけたものを否定したくなるわけで、中学校時代が反抗期と呼ばれるのはこのためです。

高校生になると、そうして否定したものの中から自分に必要なものを再び選び直すとともに、足りないものを補う作業が必要となります。どれを選びどれを補うかを決める基準は将来の自我像ですから、自分がどういう人間になりたいかという明確な展望がないと、この作業はできません。

江戸時代は身分制度があって、武士の子は武士、商人の子は商人と将来がほぼ決まっていましたから、本人の好き嫌いはともかく、将来の自我像を描きやすい時代でした。それに比べると現代は身分などという縛りもなく、さまざまな自我像を描くことができます。尊敬する人や将来の自分のモデルになる人物でもいない限り、その中からひとつを選び出すのはとても難しいことです。

一見すると選ぶことが難しいように思われますが、実は捨てることのほうが難しいのです。将来に多くの可能性があるということは、ひとつを選ぶことによって残りの可能性をすべて捨てることを意味します。得られるものより失われるものの多さに圧倒されて立ちすくんでしまうのです。

このとき自分のありのままの姿が見えていれば、自分の持ち味を生かす道を選ぶことで将来の自画像を描くことができます。それが容易に見えないために、自分は何者か、人生は何かという問題に悩むことになります。高校時代は自分という存在に直面し、それをどう扱うかという難問を課せられて、精神的に不安定になり、こころの病気にかかりやすくなる年代でもあります。

高校生にとって大切なのは、そうした問題から決して目をそらさないことと、自分で考えて決断するということです。わからないことを尋ねたり、相談することは構いません。でも決して人の言いなりになってはいけません。人の意見に従うときも、必ず自分で考え、それでいいという決断をすることが肝要です。

また容易に決断できないときは、そのまま保留にして悩み続けることも大切です。悩めるというのはひとつの能力です。安易に答えをほしがるよりも、悩み続けるほうがよほど大きな成果が得られます。

自分の将来を自分で選択するという一大転換期が高校時代です。悩みも多い代わりに収穫も大きい時期ですから、大いに悩んで、実り多い有意義な高校生活を送ってほしいものです。

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