8.リストカットですっきりする理由 | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

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医療トピックス

8.リストカットですっきりする理由

リストカットをする人はたくさんいるが、たいていは浅い傷である。手首にとどまらず、前腕一面に何十本も傷痕があったり、中には足首から膝にかけて切り傷が並んでいるような人もいる。その一方で傷が深く、血管のみならず腱や神経まで切ってしまう人がいる。こうなるとたとえ命が助かっても、指が動かなくなったり、感覚麻痺が残ったりする。

リストカットで死に至るケースはほとんどないので、たいていは別の目的、たとえば誰かの注意を引きたくて切る場合が多いようである。

しかし「リストカットをすると気分がすっきりする」というケースは、誰かの注意を引くというよりも、背景に人間不信をかかえている場合が多い。

人間とは厄介なもので、こう働きかけたらこう反応する、といえるほど単純ではない。ある女子学生が夏休みに海外旅行へ行ったことを友人に話した。彼女は楽しかった思い出を友人と共有したかっただけなのだが、友人は「あなたの自慢話なんか聞きたくない」と言って去って行った。

相手が自動販売機ならジュースのボタンを押せばジュースが出て来るが、人間は自動販売機ではないので、ジュースのボタンを押したのにコーラが出て来たりする。思いがけない反応が返ってきて傷ついたりすると、人と関わることが恐くなり、同じようなことがくり返されると人間不信に陥って行く。

相手が信じられなくなったとき、最後に残っているのは自分だけである。自分の手首を切れば痛いし、血も出る。しかし自分の身体だけは自分を裏切ることがない。人間不信が極まったときにリストカットをしてほっとするのは、そういう心理学的意味があるからである。

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