10.セカンドオピニオンの罠 | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

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医療トピックス

10.セカンドオピニオンの罠

主治医が下した診断や治療方針に納得が行かない場合、別の医師の意見を聞きたくなるのは人情で、最近はセカンドオピニオンとして定着しつつある。一見合理的な方法で、これに異を唱える人はいないようである。しかし、セカンドオピニオンが本当に信頼できる意見なのかどうか、今一度考え直してみたほうがよい。

病気の診断と治療に関して医師は専門家であり、患者は一般に素人である。素人が専門家の意見に納得できないとしたら、それ相応の根拠がなければならない。最近はインターネットを使って病気に関する情報をいくらでも仕入れることができるので、主治医が下したものとは違う診断名や治療法をいくつも見つけられる。それがセカンドオピニオンを求める社会的潮流につながったのではないかと思われる。

問題はここからである。最初の医師と二番目の医師で診断名が異なる場合、一方が間違っているか、両方とも間違っているかのどちらかである。また最初の医師と二番目の医師で治療方針が異なる場合、一方が間違っているか、両方とも間違っているか、あるいはどちらでも治療は可能であるかのいずれかである。

そもそも最初の医師の見解に納得できなかったのであるから、二番目の医師の意見に得心が行ったら「やはりそうだったか!」と合点し、安心することであろう。一件落着、めでたしめでたしという結末になりそうだが、本当に一件落着したのだろうか?

最初の医師の見解が間違いで、二番目の医師の意見が正しいという判断はどこから来るのか? 素人の患者に判断できるのであろうか? 患者が納得しているのだからセカンドオピニオンの成果は得られたと言って差し支えないのかもしれないが、医学的には何の解決もついていない。患者が自己満足するのを手伝っただけである。

では最初の医師の見解も二番目の医師の意見にも納得できなかった場合はどうすればよいのか? 引き続きサードオピニオンを求めるしかない。それでも納得できなかったらフォースオピニオンという具合に、どんどん増えていくことになる。その中からどうやって「正解」を見つけるのか? より良い配偶者を求めて見合いをくり返しているうちに、一体誰が一番良いのかわからなくなってしまった婚活リピーターになりかねない。

セカンドオピニオンを求めるときは、二人の医師の見解に対してその可否を客観的に判断できるだけの医学的知識を備えていることが前提条件になりそうである。

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