院長のひとりごと | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

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院長のひとりごと

木もれ日  13.飛車落ち奮戦記 (6)大逆転

何度も逆転勝ちを収めてきた念力の霊験はあらたかで、佐藤七段は苦悩の末王手をかけずに私の玉を縛った。これはえらいことになった、と私は思った。まさか勝てるとは思っていなかったプロ棋士との飛車落ち戦に勝ってしまったのである。 このとき控え室は拍手と万歳で大騒ぎだったらしい。 それはそうだろう。田丸九段と本田女流三段が推奨する手をことごとくはずし、案の定逆転されて意...
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木もれ日  13.飛車落ち奮戦記 (5)念力

最終盤になって、私の王手に対して佐藤七段が玉の逃げ場所を間違えた。中盤からずっと30秒将棋を続けていたせいで、さすがのプロも頭がショートしたのであろう。しかもその玉の位置が、前日本田女流三段に指していただいた終盤と全く同じ形になっている。私に銀が一枚あれば、佐藤七段の玉を詰ますことができるのである。 私の玉は風前の灯で、秒読みでなければ佐藤七段はきっちり私の...
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木もれ日  13.飛車落ち奮戦記 (4)駒柱

押したり引いたりしているうちに、いつのまにか将棋盤の縦一列に双方の駒が並ぶことになった。これは駒柱といって、実戦で滅多にできることはなく、昔から不吉な形と言われている。私は途中で駒柱ができそうだと気づいたが、騎虎の勢いで今さら止める手立てもなく、双方最善手を尽くしているうちに、とうとう駒柱ができてしまった。この祟りを受けるのは上手か、はたまた下手か……。 私...
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木もれ日  13.飛車落ち奮戦記 (3)想定外

「お好み将棋道場」の持ち時間は上手が25分、下手が50分で、それを使い切ると一手30秒の秒読みになる。私は持久戦に持ち込んで上手が持ち時間を使い果たし、私だけ時間に余裕があるという展開にするつもりだった。指し手は定跡通りに進み、田丸九段と本田女流三段に特訓を受けた形になりそうだと思った瞬間、佐藤七段が突如定跡をはずして来た。第31手目のことである。 実は20...
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木もれ日  13.飛車落ち奮戦記 (2)前哨戦

「お好み将棋道場」の収録は東京将棋会館の地下スタジオで午後6時半から行われる。それに先立って午後5時半に関係者の打ち合わせがあるのだが、この日は特別に田丸九段が、ふだん我々が入ることのできない対局室を見せて下さるというので、午後5時に集合することになった。 平成24年7月4日、家内を伴って将棋会館に着いたのが午後4時40分。すでに鷺宮将棋サロンの応援団が何人...
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木もれ日  13.飛車落ち奮戦記 (1)対局前夜

アマチュア将棋ファンにとってプロ棋士は神様のようなもので、憧れの的である。ひょんなことから田丸昇九段の知遇を得て、一緒にお酒を飲めるようになっただけでも望外の幸せなのに、なんと田丸九段の推薦でケーブルテレビの囲碁将棋チャンネル「お好み将棋道場」に出演することになった。夢のような話である。 テレビに出られることになったのはいいのだが、今度は「ちゃんと指せるだろ...
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木もれ日  12.35年ぶりの追試

平成24年は徳川家康が囲碁と将棋を保護するために囲碁所、将棋所を設けてからちょうど400年目に当たり、それを記念して第1回日本将棋文化検定が行われた。当時の日本将棋連盟会長・米長邦雄永世棋聖(平成24年12月18日逝去)の発案によるものである。 米長邦雄さんといえば、中野区若宮在住という縁で平成14年度の中野区医師会雑誌「新生」座談会にお招きし、「私の修業時...
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木もれ日  11.東西南北みぎひだり

診療所が西武新宿線鷺宮駅の近くにあるので、私はふだん鷺宮駅を使うことが多い。最近はPASMOなどという摩訶不思議なカードができたせいで、駅の料金表を見ることはほとんどなくなったが、たまに地方から来客があると、帰りに駅まで送って乗り換えの案内をしつつ路線図で料金を確認することがある。 それは別に構わないのだが、鷺宮駅に掲げてある路線案内図はなぜか上が南になって...
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木もれ日  10.真夜中の恐怖

台所で悲鳴があがり、私を呼ぶ声がした。用件は聞かずともわかっている。私は古新聞の中から夕刊を取り出すと、それを丸めながら台所に駆けつけ、床を逃げ回っているものをパシッと一撃で仕留めた。ゴキブリである。 死骸をペーパータオルでつかみ取り、床をきれいに掃除する。妻が私を賞賛の目で見るのは、最近ではこんなときくらいのものだが、まあ悪い気はしない。 妻が嫌うので仕方...
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木もれ日  9. 社交界デビュー

私が社交界にデビューしたのは大学一年生の時だった……と言っても、上流階級のそれではなく、社交ダンスのことである。 生来好奇心が強い割りに飽きっぽいところがあって、いろんなものに首を突っ込んでは中途半端なまま放り出してきた。これまでに私が関心を持ち、一応趣味といえるほどに打ち込んだものを挙げると、古い順に将棋、ビリヤード、麻雀、社交ダンス、囲碁、映画観賞、仏像...
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