院長のひとりごと | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

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院長のひとりごと

木もれ日  15.藤井聡太六段のこと

藤井聡太四段の登場で将棋界は沸き返っている。62年ぶりに加藤一二三九段が持っていた14歳7ヶ月という史上最年少プロ棋士の記録を塗り替え(14歳2ヶ月)、30年ぶりに神谷広志八段(当時五段)が持っていた28連勝という記録を、デビュー以来無敗のまま29連勝するという、とてつもない記録で塗り替えたのである。 その後も快進撃はとどまるところを知らず、順位戦で無敗のま...
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木もれ日  14.ノイローゼ志願 (3)快復

子供をベランダから投げ捨てたくなる衝動は1ヶ月ほどでおさまった。それは私が「自分もまた狂った部分を持っているのだ」と開き直った時期に相当する。狂っているのは患者で自分は正常だと思っているうちは、まともな精神科医になれないと悟ったのである。 子供を抱いて平気でベランダに出られるようになった時、私は往時を振り返って、あれは一体何だったのだろうと考えてみた。 赤ん...
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木もれ日  14.ノイローゼ志願 (2)発症

実を言うと、私は教育分析を受けるのが怖かった。教育分析を受けた先達の方々が、どなたも同じように「ノイローゼになった」と聞いていたからである。 私は自分に強迫傾向があることを知っていた。今でこそ私の部屋は乱雑を極めているが、大学時代の私の下宿は文字通り塵ひとつない清潔な部屋だった。書籍は本棚の手前からきっちり5センチメートルの距離を置いて整然と並んでいたし、洗...
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木もれ日  14.ノイローゼ志願 (1)きっかけ

昭和61年9月2日未明、私は今でも鮮明に覚えている印象的な夢を見た。大地に落雷した稲妻が、そのまま黄金の塔になるという夢である。私は別に迷信深いほうではないが、この夢には人智を超えた大きな意志が働いているように思われてならなかった。 その頃私はスランプに陥っていた。医学部を卒業して4年、精神科医として多少経験も積んできたつもりだったが、私が期待するほどには患...
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木もれ日  13.飛車落ち奮戦記 (6)大逆転

何度も逆転勝ちを収めてきた念力の霊験はあらたかで、佐藤七段は苦悩の末王手をかけずに私の玉を縛った。これはえらいことになった、と私は思った。まさか勝てるとは思っていなかったプロ棋士との飛車落ち戦に勝ってしまったのである。 このとき控え室は拍手と万歳で大騒ぎだったらしい。 それはそうだろう。田丸九段と本田女流三段が推奨する手をことごとくはずし、案の定逆転されて意...
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木もれ日  13.飛車落ち奮戦記 (5)念力

最終盤になって、私の王手に対して佐藤七段が玉の逃げ場所を間違えた。中盤からずっと30秒将棋を続けていたせいで、さすがのプロも頭がショートしたのであろう。しかもその玉の位置が、前日本田女流三段に指していただいた終盤と全く同じ形になっている。私に銀が一枚あれば、佐藤七段の玉を詰ますことができるのである。 私の玉は風前の灯で、秒読みでなければ佐藤七段はきっちり私の...
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木もれ日  13.飛車落ち奮戦記 (4)駒柱

押したり引いたりしているうちに、いつのまにか将棋盤の縦一列に双方の駒が並ぶことになった。これは駒柱といって、実戦で滅多にできることはなく、昔から不吉な形と言われている。私は途中で駒柱ができそうだと気づいたが、騎虎の勢いで今さら止める手立てもなく、双方最善手を尽くしているうちに、とうとう駒柱ができてしまった。この祟りを受けるのは上手か、はたまた下手か……。 私...
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木もれ日  13.飛車落ち奮戦記 (3)想定外

「お好み将棋道場」の持ち時間は上手が25分、下手が50分で、それを使い切ると一手30秒の秒読みになる。私は持久戦に持ち込んで上手が持ち時間を使い果たし、私だけ時間に余裕があるという展開にするつもりだった。指し手は定跡通りに進み、田丸九段と本田女流三段に特訓を受けた形になりそうだと思った瞬間、佐藤七段が突如定跡をはずして来た。第31手目のことである。 実は20...
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木もれ日  13.飛車落ち奮戦記 (2)前哨戦

「お好み将棋道場」の収録は東京将棋会館の地下スタジオで午後6時半から行われる。それに先立って午後5時半に関係者の打ち合わせがあるのだが、この日は特別に田丸九段が、ふだん我々が入ることのできない対局室を見せて下さるというので、午後5時に集合することになった。 平成24年7月4日、家内を伴って将棋会館に着いたのが午後4時40分。すでに鷺宮将棋サロンの応援団が何人...
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木もれ日  13.飛車落ち奮戦記 (1)対局前夜

アマチュア将棋ファンにとってプロ棋士は神様のようなもので、憧れの的である。ひょんなことから田丸昇九段の知遇を得て、一緒にお酒を飲めるようになっただけでも望外の幸せなのに、なんと田丸九段の推薦でケーブルテレビの囲碁将棋チャンネル「お好み将棋道場」に出演することになった。夢のような話である。 テレビに出られることになったのはいいのだが、今度は「ちゃんと指せるだろ...
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