精神科医のがん闘病記 | 中野区鷺ノ宮から徒歩4分の精神科・心療内科

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精神科医のがん闘病記

6.生きるということ

入院したことがある人はたいてい「病院の食事はまずい」と言う。がん研有明病院の食事は肉料理と魚料理を選べるほか、温かい料理と冷たい料理も選べるし、食欲がないときは麺類やフルーツに替えてもらうこともできる。塩分は控えめだが、出汁はしっかり取ってあるのでまずくはない。初日と2日目は完食だった。 ところが3日目あたりからだんだん食事がまずくなってきた。完食どころか、...
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5. 死ぬということ

術前治療4週間のうち最初と最後の1週間は1日中、それこそ寝ている間も抗癌剤の点滴が続く。同時に放射線治療が始まり、毎日キャリーのついた点滴スタンドをゴロゴロ押して地下1階の照射室へ通うことになった。 最初のうちこそ身体がナマってしまわないようにと、用もないのに廊下を何度も往復したり、ホールまで足を運んで新聞を読んだりしていたが、だんだん億劫になって、ベッドで...
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4.入院

手術の前に抗癌剤と放射線による治療を受けることになった。期間は4週間で、このうち放射線治療は週5日、合計20日間。抗癌剤治療は最初の1週間と最後の1週間で、1日中点滴することになるため、この2週間は入院しなければならない。 入院と聞いて私は気が重くなった。妻によると私は毎晩酒を飲んで大鼾をかいているらしいのである。入院中は飲めないにしても、大鼾をかかないとい...
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3.生存率

5年生存率30~40%をどう見るか? 半分以下だから低いと悲観的になる人もあれば、3人に1人は生き延びられると前向きに考える人もあるだろう。医師にとっても5年生存率は予後をイメージする上で重要な指標である。 しかし、実を言うと患者にとってこれはほとんど何の意味もない。患者が知りたいのは自分が5年後に生きているのか、それとも死んでいるのかという二者択一だが、5...
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2.ダメ押し

鷺ノ宮駅前からバスで阿佐ヶ谷駅に出て、中央線快速で新宿へ。りんかい線に乗り換えて国際展示場で降りれば、がん研有明病院はすぐ左手にある。連絡が良ければ片道1時間15分、乗り換えに手間取ると1時間半の道のりである。 平成29年8月9日、私はこれから何度も通うことになるであろう(ひょっとすると臨終の場になるかもしれない?)病院へ足を踏み入れた。「私もついて行ったほ...
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1.予兆?

ことの始まりは腕時計だった。 平成29年4月、私は妻と二人で海外旅行へ出かけた。以前から行きたいと思っていながら、なかなか決心がつかなかったポーランドのオシフィエンツィム、ドイツ名でアウシュビッツを訪ねる旅である。私は腕時計のバンドを新しいものに取り替え、準備万端調えて成田空港を飛び立った……はずだった。 ところがアムステルダムでクラクフ行きに乗り継ぐ際に腕...
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