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木もれ日 13.飛車落ち奮戦記 (6)大逆転

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何度も逆転勝ちを収めてきた念力の霊験はあらたかで、佐藤七段は苦悩の末王手をかけずに私の玉を縛った。これはえらいことになった、と私は思った。まさか勝てるとは思っていなかったプロ棋士との飛車落ち戦に勝ってしまったのである。

このとき控え室は拍手と万歳で大騒ぎだったらしい。

それはそうだろう。田丸九段と本田女流三段が推奨する手をことごとくはずし、案の定逆転されて意気消沈していたところを、念力などという、どんな定跡書にも載っていない手を放って再逆転したのだから。

後日、放映された番組を見て私は大笑いをした。解説にある本手や好手がまったく見えていない自分の弱さ加減もさることながら、読み筋をはずされてフォローし切れず、途方に暮れている田丸九段の姿がいかにもおかしかったのである。

ところで駒柱はどうなったか?

やはり祟りがあったのである。

佐藤七段にとってはアマの私に逆転負けを喫したこと。プロにとっては悪夢以外の何ものでもないであろう。一方私はこの対局の数日後、侵入経路不明の菌血症から多発性肺炎になり、坂井典孝先生から東京警察病院の丸茂一義先生を紹介されて、一カ月余りの長期療養を余儀なくされたのであった。
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